今世紀中にも起こり得る巨大噴火、備えのない世界を襲うカオス

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グリンダビークの町の近くを流れる溶岩=4月、アイスランド/Lewis Whyld/CNN

グリンダビークの町の近くを流れる溶岩=4月、アイスランド/Lewis Whyld/CNN

不安定化が進む世界

次に巨大噴火が起きる世界は温暖化が進んでいる。「世界は不安定化が進んだ」とニューヨーク大学のマイケル・ランピノ教授は言い、「1815年よりずっと悪い影響が出るかもしれない」と予想する。

温暖化が進んだ世界で巨大噴火が起きれば、寒冷化の影響は一層大きくなる可能性がある。

温暖化が進むと大気中の空気の循環速度が速まって、エアロゾル粒子の拡散が加速され、短時間で形成されるようになる。小さなエアロゾルは、大きなエアロゾルよりも太陽光を散乱させる効果が大きく、寒冷化の影響は増大する。

海洋の状態も影響する。海面が熱せられると軽くて暖かい水の層ができ、浅い層と深い層が交わるのを妨げる。このために、海面の上層とその上の大気が噴火によって不均衡に冷却される可能性がある。

気候変動は火山そのものにも影響を与え得る。氷が解けると圧力が低下してマグマの上昇が速くなり、噴火が増える可能性がある。気候変動に伴う極端な豪雨で地中深くまで雨水が浸透し、マグマと反応して噴火を誘発する可能性があることも分かっている。

予測不可能

地球温暖化が進む中、寒冷期は歓迎すべきことにも思えるが、その逆だと専門家は言う。

活火山の約100キロ圏内には推定8億人が暮らしており、巨大噴火が起きれば都市が壊滅しかねない。

気温の低下も壊滅的な影響を及ぼす。紀元前43年に噴火したアラスカのオクモク火山は、南欧やアフリカ北部で最大7度の寒冷化を引き起こした可能性がある。

英保険市場「ロイズ」によれば、気温が下がって日光が遮られ、雨の降り方が変われば、米国や中国、ロシアなどの穀倉地帯が同時期に影響を受けて世界的な食糧不安を引き起こし、政治的緊張の高まり、果ては戦争につながる恐れさえある。

タンボラ山規模の巨大噴火が起きた場合、経済的損失は最初の1年だけで3兆6000億ドルを超す可能性があるとロイズは試算する。

次の巨大噴火はいつ起きてもおかしくない。専門家は、インドネシアや、何十万年も巨大噴火が起きていない米西部のイエローストーンなどの地域に目を向けている。

「それでも次がいつ、どこかを予測するのは不可能だ」とストフォル氏は話している。

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