中国、自国の軍事情報のネット共有引き締めへ ブロガーらの投稿に規制導入
香港(CNN) 中国は、包括的な規制措置を新たに講じ、自国の軍隊に関するネット上での情報公開の引き締めを図ることを明らかにした。これにより、世界最大の軍隊を監視する主要な情報源が隠される可能性がある。
これらの規制は先週末に発表された。施行は来月1日からとなっている。中国は現在、人民解放軍(PLA)の増強と近代化を急速に進め、米国に匹敵する軍事力の獲得を目指している。
習近平(シーチンピン)国家主席にとっても、地政学的緊張が高まる中で国家安全保障を強化し、国家機密を守ることを念頭に置いた最新の取り組みとなっている。
広範囲に及ぶ規制は、中国の軍事ブロガーやコメンテーターに大きな打撃を与えるかもしれない。彼らはしばしば新たな兵器システムや人事、部隊などの画像や情報を迅速に共有する。
彼らの投稿によって公になるそうした内容は、中国軍の発展や動きを追跡するPLAウォッチャーたちにとって重要な情報源となる。
規制の意図は、「誤った軍事情報の拡散」やネット上での「軍事機密の漏洩(ろうえい)」といった問題に対処することだという。政府が公開した一問一答で明らかにした。
政府は軍事問題に関するネット上のコンテンツに厳格なルールを適用。軍事機密や国防技術、業界の秘密やその他の非公開情報について、「作成、複製、公開、拡散」を禁じる。
台北を拠点とする独立系アナリストで、PLAに関する公開情報を記録するジョセフ・ウェン氏は中国共産党について、従来は秘密主義と宣伝工作の両方に価値を置いてきたと指摘。新たな規制は政府がその手法を破棄し、明確な境界線の設定による「機密保護」に踏み切った兆候だと分析した。
規制は個人のユーザー並びに「オンラインの軍事情報サービスプロバイダー」を標的とする。そこには軍事情報専門サイトや軍事コラム、軍隊に焦点を当てるソーシャルメディアアカウントも含まれる。
新たな規制が外国メディアの中国軍報道にどのような影響を及ぼすのかは不明。
シンガポールにあるS・ラジャラトナム国際問題研究大学院の助教でPLAの専門家、ジェームズ・チャー氏は、PLAその他の軍事問題に関する情報は長年にわたって中国当局の厳格な監視下にあったと指摘。今回の規制の発表は既存のルールの制度化以上のものでは全くないとの見方を示した。
それでも今後は部隊の移動や軍事演習といった情報に関して、PLAの許可なくネット投稿することが違法になると説明。そうした情報の流出を防止できることは中国政府の利益になるとの認識を示唆した。
一方で台北のウェン氏によれば、新たな規制が導入されても、同氏を含むPLAウォッチャーらには当局が宣伝工作用に流す情報からデータを収集する機会がまだ数多く残されているという。
「PLAの公式メディアは、世界で最も情報量に富む部類の軍事メディアであり続けている」(ウェン氏)