ウクライナ侵攻は4年目に 領土の11%失う、民間人4万人超が死傷
(CNN) 米国のトランプ大統領は、ウクライナでの戦争の早期の終結を目指している。サウジアラビアでは先ごろ、米ロの高官による和平交渉が行われた。しかし、その会合にウクライナ政府の代表はいなかった。
ウクライナや欧州の支援国は、米国の新たなやり方に驚き、なんとか対応しようとしている。
ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まって3年が経過した。ウクライナは広大な領土を失ったものの、欧米からの軍事支援のおかげで、その一部を取り戻している。
2022年以降で11%の領土失う
開戦当初、ウクライナは首都キーウからロシア軍を撃退し、その後、北東部ハルキウ州や南部ヘルソン州の一部で勝利をおさめた。しかし、ウクライナは、ドネツクやバフムートなど東部で多くの領土を失った。
米シンクタンク戦争研究所(ISW)のデータをCNNが分析したところ、22年のロシアによる侵攻以降、ウクライナは領土の約11%で支配権を失った。14年の紛争以降、ロシアとロシアが支援する分離主義者によってすでに失われていた領土を考慮すると、ウクライナがロシアに奪われた領土は合計で約18%となる。
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14年の「マイダン革命」時にウクライナ政界で混乱が生じた後、ロシアはクリミア半島を不法に併合した。さらにその年、ロシアの支援を受けた分離主義者がドンバス地方の一部を制圧。こうした地域は依然としてロシアの支配下にある。
最大の支援源が危機に
22年に戦争が始まって以降、米国は単一国家としてはウクライナの最大の支援国となっている。軍事や人道、財政での支援額は約950億ドル(約14兆円)にのぼるが、トランプ政権の下、こうした支援が危機に直面する可能性がある。
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トランプ氏はウクライナでの戦争の早期の終結を約束しているが、昨年の大統領選では一貫して、米国の資金がウクライナに送られることについて批判的だった。トランプ氏は最近では支援について「ディール(取引)外交」の手法を提示し、米国が支援の見返りにウクライナからレアアース(希土類)を入手できるようにすべきだとの見方を示した。ウクライナのゼレンスキー大統領はこうした提案を拒否している。
米国際開発局(USAID)の活動が最近停止したことで、すでにウクライナに影響が出ている。USAIDの資金が凍結されたことで、ウクライナのNGOや慈善団体は、人員の削減や、自殺の相談窓口やHIV(エイズウイルス)検知に関連したプロジェクトの一時的な閉鎖に追い込まれた。過去3年、ウクライナはUSAIDからの支援を最も多く受け取る国だった。
数百万人が避難
ロシアが侵攻を開始し、領土を占領し始めてから、数百万人のウクライナ人が自宅を離れ、国内の別の場所や国外へと避難している。
国連が24年末までに集計したデータによれば、欧州各国に避難しているウクライナ人は630万人あまり。ドイツに約120万人が暮らしているほか、ポーランドに約100万人、チェコに39万人のウクライナ人がいる。
国連の最新の推計である24年6月時点で、ロシアには120万人のウクライナ避難民が暮らしている。
推計では1000万人以上のウクライナ人が避難している。24年末の時点で、推計370万人のウクライナ人が国内で避難しているほか、690万人が国外での避難や亡命を模索している。
多くの民間人が死亡
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、紛争のさ中、ウクライナでは4万人以上の民間人が死傷した。死者の多くは、爆発兵器によって死亡した。
3年にわたるロシアによるウクライナ侵攻で、民間人1万2000人あまりが死亡したほか、2万9000人以上が負傷した。民間人の死者のうち約半数(6203人)が成人男性。669人が子どもだった。