「ヒジャブを脱いで」と歌ったミュージシャン、７４回のむち打ち刑　イラン

（ＣＮＮ） イランの女性たちに向け、頭髪を覆う布「ヒジャブ」を「脱いで」と呼び掛ける曲を歌った同国の男性ミュージシャン、メフディ・ヤラヒ氏（４２）に対するむち打ちの刑が執行された。同氏の弁護士が５日、Ｘ（旧ツイッター）上で明らかにした。

国営イラン通信（ＩＲＮＡ）が２０２３年に伝えたところによると、ヤラヒ氏は「イスラム社会の道徳と慣習に反する違法な楽曲を発表した」として罪に問われた。

ヤラヒ氏は同年８月、ペルシャ語で「あなたの頭のスカーフ」を意味するタイトルの歌を発売。歌詞には「そのスカーフを脱いで、その髪をなびかせて」「恐れないで、笑って」などと呼び掛けるフレーズが含まれていた。

同氏はその４日後に逮捕され、首都テヘランの革命裁判所で禁錮２年８カ月とむち打ち７４回の刑を言い渡された。実際には１年間収監され、むち打ちとともに罰金を科されていた。

イランでは女性にヒジャブの着用が義務づけられている。２２年には、ヒジャブを適切にかぶっていなかったとして道徳警察に逮捕された女性が、直後に死亡する事件が発生。ヤラヒ氏が逮捕された１カ月後には、事件から１年の節目に合わせ、全国で抗議デモが展開された。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは昨年１２月、同国でヒジャブ着用義務をさらに厳格化し、違反者に死刑やむち打ち、禁錮刑を科す新法が制定されたと報告した。