クルスク州でロシア軍が前進、ウクライナの交渉カードは危機的状況に
キーウ(CNN) ウクライナ軍が越境攻撃を行ったロシア西部クルスク州で、ロシア軍が前進を続けており、同地に展開するウクライナ軍の状況が急速に悪化している。戦況の正念場を迎えるなか、ウクライナ側が唯一得ている領土面での交渉材料が脅かされている。
両国の軍事ブロガーはウクライナ軍が劣勢に立たされていると指摘する。ウクライナ軍によれば、ロシア軍はガスパイプラインを利用して一部地域で奇襲攻撃を仕掛けた。ロシア国防省は9日、数日の間に四つの集落を制圧したと発表した。
ウクライナ軍は昨年8月、クルスク州への電撃的な侵攻を開始。しかしその後、ウクライナはクルスク州での支配地域を維持するのに苦戦しており、外交情勢も一変しつつある。米国のトランプ大統領は、軍事支援と情報共有を停止することでウクライナ政府に対して和平合意を迫っている。
ウクライナ・ロシア双方の軍事ブロガーは、北朝鮮軍の支援を受けたロシア軍が絶え間ない攻撃を仕掛けており、ウクライナが同地を押さえ続けるのはかつてないほど困難になっていると警告する。
CNNは戦況に関する報道について独自に確認ができていない。しかし、こうした軍事ブロガーはこれまでも戦況について正確な情報を伝えていた。
ガスパイプラインの監視を強化
最新の報道は、ロシア軍がクルスク州国境沿いの町スジャを狙い、同州内に進軍しているウクライナ軍への重要な兵たん路を断ち切ろうとしていることを示唆している。ウクライナの軍事ブロガーは、ロシア軍が8日にガスパイプラインに沿ってスジャへ進入したと述べた。
パイプラインは現在、監視態勢が強化され、周辺にいたロシア軍部隊は「排除」されつつあるという。
ただし、この軍事ブロガーは、クルスク州に展開するロシア軍と北朝鮮軍が「戦力で大きく優位に立っており、絶え間なく攻撃を仕掛けている」と警鐘を鳴らす。同州にはおよそ1万2000人の北朝鮮兵が派遣され、ロシア軍の同国内での活動を後押ししている。ロシアがクルスク州全域を取り戻せば、ウクライナ東部へ兵力を回す可能性もある。