イスラエル情報機関長官、6月に退任の意向 首相から圧力
(CNN) イスラエルの国内諜報(ちょうほう)組織「シンベト」のバー長官が、6月15日に退任すると発表した。バー長官をめぐっては、イスラエル政府が先に解任を決定していた。
「祖国への愛と国家への忠誠は、私が職務で下すあらゆる決断の礎だ」とバー長官は殉職したシンベト要員を追悼する行事で語った。「今夜も同じ理由で決断した」
バー長官は、イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃を防げなかった責任を認めた。「長年にわたり多くの前線で戦ってきたが、その夜、南部戦線で空が落ちた。すべてのシステムが崩壊した。シンベトも警告を出せなかった」とし、辞任は「後任選びを円滑に進めるため」だと説明した。
しかし、任期がそこまで持つかは不透明だ。イスラエル政府は3月21日、バー長官を全会一致で解任すると決定した。解任は4月10日の予定だったが、イスラエル最高裁が決定を差し止めていた。ネタニヤフ首相や右派は反発し、なお辞任前の更迭を狙っている。
バー長官はネタニヤフ首相や右派の政治家と激しく対立してきた。閣僚は、政府を失墜させる意図で政治的動機の捜査を仕掛けたと非難。今年に入り「カタールゲート」事件で、シンベトによる捜査が首相の側近2人に及んだことで対立は激化した。
バー長官は先に宣誓供述書で、ネタニヤフ氏が「個人的忠誠」を求めたと証言。「憲法の危機の際には、最高裁ではなく首相に従うよう求められた」と明かした。
これに対しネタニヤフ首相は「偽りの宣誓だ」と非難し、職務を果たさなかったから解任したと主張した。