「ロシア人記者殺害」はウクライナが流したデマ、本人が会見に登場
(CNN) ロシア政府を批判していたロシア人記者のアルカジー・バプチェンコ氏(41)がウクライナで殺害されたと伝えられた事件で、バプチェンコ氏本人が30日、ウクライナの首都キエフで記者会見に出席し、殺害の情報はウクライナ保安局(SBU)が自分に対する暗殺計画を阻止するために流したデマだったと発表した。
記者会見は、殺人事件に関する新しい情報を期待していた記者団の前に本人が姿を現す予想外の展開となった。
29日の時点では、妻が自宅で血を流して倒れているバプチェンコ氏を発見したと伝えられており、同氏は妻に「地獄」のような思いをさせたとして謝罪した。
ウクライナ当局者はこの展開について、ロシアによるバプチェンコ氏の暗殺計画をあぶり出すのが目的だったと説明する。検察は30日、バプチェンコ氏の襲撃や暗殺を指示したとされる容疑者2人を拘束したことを明らかにした。
しかし、暗殺計画を露呈させるためになぜここまでする必要があったのか、誰が関与したのか、血を流して倒れている夫を見つけたとされる妻は実際には何を見たのかといった疑問は残る。
だが30日の記者会見では、そうした疑問への答えは出なかった。ウクライナの治安当局者とともに会見に臨んだバプチェンコ氏は、1カ月前にウクライナ治安当局から身の安全が脅かされていると告げられ、暗殺を阻止するための作戦について説明を受けたと語った。
暗殺計画にロシア政府が関与しているという情報は説得力があったとバプチェンコ氏は述べ、「この特殊作戦への参加を持ちかけられた」「協力するほかに選択肢はなかった」としている。
ウクライナ保安局の発表によれば、ロシアの特殊機関は「G」と呼ばれるウクライナ市民を雇って、バプチェンコ氏の暗殺を含む多数のテロ行為を実行に移す人物を探させていたとされる。