ロシアによるクラスター弾の使用、わかっていること
(CNN) ロシアは今週、ウクライナが米国から供与されたクラスター弾を使用すれば「犯罪」に当たり、報復すると宣言した。だが、ウクライナや国連によれば、これまでウクライナへの全面侵攻でクラスター弾の使用を繰り返してきたのはロシアの部隊だ。これまでにわかっていることをまとめた。
ウクライナ検事総長室は侵攻開始以降、ロシアによるクラスター弾使用を巡り複数の捜査を開始。昨年3月27日の声明では、中部ドニプロペトロウスク州で民間を標的とするクラスター弾の使用があったと指摘した。当局や専門家がクラスター弾のミサイルの破片を回収したとしている。
5月11日には、中南部ザポリージャ州の軍政当局が、州内の町で8人がクラスター弾の攻撃で負傷したとSNSのテレグラムで報告した。
CNNはこうしたウクライナ側の主張を独自に検証できていない。
CNNが昨年実施した検証によれば、北東部ハルキウ州で民間の標的を狙ったクラスター弾の使用があった。シリアでの残虐行為を指揮したロシア軍将校が州都ハルキウへのクラスター弾による攻撃を主導した。
国連もロシアのクラスター弾使用に関する報告書を公表している。昨年3月30日にはバチェレ国連人権高等弁務官(当時)が、侵攻後わずか1カ月で、ロシアが人口密集地でクラスター弾を使用したケースが「少なくとも24回に上る」との信頼できる報告があると明らかにした。
国連と協力しクラスター弾の使用禁止などの監視活動を続けている市民団体は昨年8月25日、ロシアによるウクライナ侵略が始まって以降、クラスター弾の攻撃を受けて殺害された民間人は少なくとも215人、負傷者は474人に達すると報告した。
同団体「クラスター弾モニター」は、ロシア軍は侵攻開始以降にクラスター弾を「再三」使っていると指摘。ウクライナ軍も「複数回」投入し、「大半」は人口密集地域がその場所になったとした。
ウクライナ側は以前、クラスター弾の使用を認め、ロシア軍の侵攻から領土を守るのが目的だったと主張していた。