太陽よりも輝く「石」 化石燃料時代の終わりを告げるか

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太陽よりも明るく輝く「石」が化石燃料時代の終わりを告げる?

太陽よりも明るく輝く「石」が化石燃料時代の終わりを告げる?

カリフォルニア州フレズノ(CNN) 人類の黎明(れいめい)期のあるとき、平均よりも賢いホモ・サピエンスが暖を取るために石を火から遠ざけて熱電池を発明した。

それから100万年以上が経過し、人類が気候危機を回避するために化石燃料を超える進化を遂げようと奮闘するなか、その簡素な考え方が現代によみがえりつつある。文字通り、また、比喩的にも、岩石への蓄熱はかつてないほど熱くなっている。

「箱の中(の石)は現在、1600度だ」とアンドリュー・ポネックさんは小さな建物ほどの大きさの熱電池の横に立って語った。鉄の融点よりも温度が高いという。

ポネックさんの白熱した石の箱が非常に重要なのは、それらが大量の石炭やガスを燃やして加熱されたのではなく、ポネックさんの試作品を囲む何千もの太陽光発電ソーラーパネルが太陽光を受けることで加熱されたという点だ。

アントラの太陽光発電場を歩くCNNの気候記者/Julian Quinones/CNN
アントラの太陽光発電場を歩くCNNの気候記者/Julian Quinones/CNN

もし成功すれば、ポネックさんとその新興企業アントラ・エナジーは、数兆ドル規模の新たなエネルギー貯蔵分野の一翼を担うことになるかもしれない。そこでは、太陽や風を利用するだけで世界最大級の工場を稼働させるのに十分な温度に石の箱を加熱する。

ポネックさんのクリーンエネルギーに対する情熱は、好奇心旺盛な公立校の学生として自宅のガレージで太陽光発電をいじっていたころに始まった。ポネックさんは、大規模な太陽光発電所を建設するため、スタンフォード大学を中退した。

ポネックさんは学位を取るために復学したとき、太陽や風力は自動車や家庭のバッテリーを充電するのに適しているものの、ベビーフードから鋼鉄まであらゆるものを製造するのに必要な工業用熱源の燃料を一掃することのほうが急務であることに気が付いた。また、工場のエネルギー需要はたいてい年中無休であるため、重工業は自然エネルギーの価格下落の恩恵をまだ受けていない。

「カリフォルニア州ではほとんどの日中、卸売市場の電力価格はゼロで、ときにはマイナスになることもある。これは現在設置されている太陽光発電が非常に多いためだ。風力のある他の州でも同様のことが起きている。問題は太陽が雲に隠れたり、風が吹かなくなったりしたときに工場の操業を止められないことだ。それがまさに、我々が焦点を当てた問題だ」(ポネックさん)

  
      
未来のエネルギー貯蔵装置?、「熱バッテリー」の試作品

「バッテリー」という言葉は、自動車や電子機器に使われている化学的なものを思い起こさせることが多い。蓄熱技術を用いた岩石には現在、1800年代に誕生した「カウパーストーブ」として知られる発明のおかげで、リチウムイオン電池の10倍のエネルギーが蓄えられている。精錬所でよく見られるれんがを積み上げた巨大な塔が溶鉱炉の排熱を吸収して3000度近くまで加熱。その後、約20分間にわたって100メガワットを超える熱エネルギーを供給する。

このプロセスは1日24回、30年間にわたって繰り返すことができるという。アントラは最も効率的な組み合わせを見つけるために、断熱した箱の内部で、さまざまな種類の岩石やシリンダー内の溶融塩の組み合わせを実験している。

ポネック氏は「さまざまな理由からグラファイトに興味を持った」と語った。ポネック氏によれば、鉛筆に含まれる安価で豊富な炭素は非常に多くの熱を保持することができ、太陽よりも熱く輝くという。

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