世界の石炭需要がピークに、今後3年で2%減少か 中国の再エネ使用増加で
ロンドン(CNN) 国際エネルギー機関(IEA)は15日、中国が再生可能エネルギー源の稼働を増やす中、世界の石炭需要は今年でピークに達する公算が大きく、今後3年間で約2%減少する可能性があるとの見解を示した。
IEAが3年間のスパンで石炭需要の低下を予測するのは始めて。
石炭の需要は今年、85億4000万トンのピークに達し、従来の最高だった2022年の84億2000万トンを上回る見通し。
IEAは24年には石炭需要が減少に転じ、26年末までに2.3%落ち込むと予測している。
IEAのエネルギー市場・安全保障局長を務める貞森恵祐氏は今回の予測について、「石炭の転換点がはっきりと視界に入った」と指摘。「世界の石炭需要はこれまで何度か減少したが、その期間は短く、ソ連崩壊や新型コロナウイルス危機といった異例の事態が原因だった」と述べた。
そのうえで「今回は様相が異なる。今回の減少はより構造的で、クリーンエネルギー技術の強力かつ持続的な拡大が要因になっている」と説明した。
IEAによると、今後3年間で稼働する再生エネルギー能力の半分以上は中国が占める見通し。中国は現在、世界の石炭需要の半分超を占める。
13日に採択された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)の新たな合意文書では、化石燃料からの脱却が初めて呼び掛けられている。ただ、曖昧(あいまい)な表現が使われているため、一部の政府は最小限の行動しか取らずに済む可能性がある。
今回の合意では世界100カ国以上や多くの気候団体から要請が出ていた石油、石炭、天然ガスの「段階的廃止」には踏み込んでいない。