顧客の顔写真をグーグル検索も 英航空会社のVIPサービスに賛否
ロンドン(CNN) スタッフが得意客の情報を共有し、1人ひとりに合わせた対応を――。英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が導入したVIP向けの新サービスが、賛否両論を巻き起こしている。グーグルの画像検索で顔写真を入手するといった情報収集が、プライバシー侵害に当たるとの懸念からだ。
「ノウ・ミー」と呼ばれるこのサービスでは、乗客の中でも大物実業家らVIP客が対象。座席の位置や前回までのフライト、食事メニューの選択などの情報をデータベースにまとめ、客室乗務員や空港ラウンジのスタッフが共有する。スタッフは全員、配布されたタブレット端末「iPad(アイパッド)」でデータを取り出したり、グーグル検索を利用したりすることができる。
到着の遅延が乗り継ぎに影響する客を素早く見つけたり、以前のフライトで不備のあった客におわびの言葉を添えたりすることにより、細やかなサービスが可能になるという。顧客分析部門の責任者は「なじみのレストランに行く感覚を、スタッフ数千人、乗客数百万人の規模で再現するのが目標だ」と話す。
これに対し、プライバシーの尊重を主張する活動家らから「無用の侵害だ」と批判する声が上がっている。
一方、BA側は「一般客ではなくVIP向けのサービス。有名人への伝言は機内放送で名前を呼ぶより、そっと席に行って伝えた方が喜ばれる。1年半の試験期間に苦情は聞いていない」「すでにある情報を、まとめて引き出せるようにしただけだ」と説明している。