米の記録的干ばつ、ワイン好きには朗報? ブドウの生育順調
(CNN) 米全土を覆う干ばつはトウモロコシなどの収穫に打撃を与える一方で、乾燥を好むブドウには恩恵をもたらしている。今年のブドウからできるワインは高い品質が期待できそうだという。
米農務省の推計によれば、2012~13年のトウモロコシ収穫高は、1995~96年以来最低の水準に落ち込む見通しだ。しかしそれとは対照的に、バージニア州北部のワイナリーでは今年はブドウの生育が早く、数週間以内にも一部の収穫を開始できそうだという。
同ワイナリーを営むクリス・ブロッサー氏は「収穫期はできるだけ雨が少ない方がいい。10月まで雨が降らなくてもまったく問題はない」と話し、「このままいけば、素晴らしい収穫が期待できそうだ。果実に含まれる水分が減るので、ワインの生産量は減り、品質が高まるだろう」と期待する。
ブロッサー氏によると、ブドウは一般的に乾燥を好む植物で、葉が乾燥するとかびや菌類が繁殖せず、生育が良くなる。乾燥によって果実の糖度も高まり、香味が増すという。
ただし業界団体は、極端な干ばつが続けば収穫量が減り、栽培を始めたばかりのブドウの木に被害が出る恐れもあると指摘する。
ブドウの木の作付けには1エーカー(約0.4ヘクタール)あたり1万~1万5000ドル(約80万~120万円)のコストがかかり、投資を回収できるのは3~7年先になる。新興の生産地では保険をかけていないところも多く、もし干ばつで被害が出た場合でも、栽培のやり直しが難しくなる恐れもあるという。
ただ、ブロッサー氏のワイナリーでは今のところそうした影響は出ていないという。それよりもシカやクマ、鳥などに荒らされる方を警戒し、ネットを張り巡らすなどの対策を講じている。