都市戸籍を取れない「農民工」の生活 成長する中国の裏側
農民工の不利な立場は教育でも現れる。農民工の子どもは、都市戸籍の子どもと同じ学校へは通えず、私立学校の学費負担を余儀なくされるという。
このような私立学校の一つで教鞭(きょうべん)をとっている作家のデビット・バンダスキー氏は、都市戸籍の子どもが通う学校との教育水準の差が大きく、「私立学校」と呼べるような代物ではないと憤る。
同氏は、教育や機会が与えられないため、農民工の子どもたちの多くが親と同じような仕事に就くという悪循環はほぼ4世代にわたり続いていると指摘。「この15~20年は、社会の流動性が低い」という。
こういった状況が中国社会の不安定要素となっている兆候もみられる。広東省では昨年来、当局の人間による農民工への暴行をきっかけに、農民工による暴動や都市住民との衝突が発生した。
一部の家庭では、子どもを大学へ進学させることでこの悪循環を脱しようと希望をつないでいる。だがバンダスキー氏によると、それが成功する可能性は非常に低いという。
グオさんは、「子どもたちにそんなに多くを望んでいるわけではない。学校へ行って一生懸命勉強してくれさえすればいい。自分たちと同じような仕事や生活はしてほしくないだけだ」と胸の内を明かした。