ロシア、資源外交で諜報戦か 欧州のシェールガス開発反対で
ロンドン(CNNMoney) 北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は21日までに、ロシアが新たなエネルギー源として注目されるシェールガス開発に抗議する欧州の環境保護団体や非政府機関(NGO)などに積極的に接触し、反対運動を煽る「情報戦」を仕掛けていると述べた。
その狙いについては、欧州諸国が天然ガス確保で30%をロシアに頼っている強力な「外交カード」の維持を図っているとした。同事務総長はロシアによるこの「諜報(ちょうほう)工作」について同盟国に報告したともしている。
欧州諸国はウクライナ危機を受け、エネルギー資源をロシアに委ねることの危険性を痛感し、供給国の多様化や再生エネルギーの積極的な利用に本格的にかじを切った。ロシア産ガスの欧州への輸出の多くはウクライナ経由のパイプラインを通じている。
ただ、再生エネルギーの生産増加や液化天然ガスの輸入拡大は財政面などでの制約もあり、短期での実現は望めない状況。このため、欧州大陸内に眠るとされる大量のシェールガス資源も注目されている。その埋蔵量は推定で470兆立方フィート(100立方フィートが約2.8立方メートル)。
しかし、シェールガス開発には水圧破砕などの工法が必要とされ、環境面での悪影響も指摘されている。
英国で同工法への反対運動を行っている環境NGOグリーンピースはラスムセン事務総長の主張を受け、自らの組織は「ロシアのプーチン大統領の操り人形ではない」と反論。「事務総長は陰謀のシナリオづくりに精を出さず、事実を見すえることに時間をかけるべきだ」と主張した。「シェールガスの開発はロシアからの輸入より高くつく可能性がある」などとも述べた。