100ドル紙幣、なくした方がいい?
ニューヨーク(CNNMoney) 米国の100ドル紙幣はその価値以上のトラブルを招いている――。国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストで米ハーバード大学のケン・ロゴフ教授がそう指摘した。
同氏は今年発表した論文で、米国で現在流通している通貨1兆3000億ドル(約130兆円)相当のうち、ほぼ80%が100ドル紙幣で出回っていると指摘した。これは合法的な使用として把握できる量をはるかに上回っており、100ドル紙幣が犯罪に使われていることを物語る。
捜査当局もこの見方に同意する。米シークレットサービス犯罪捜査部門幹部は、100ドル紙幣はかさばらずに多額の現金を持ち運べることから犯罪者に好まれる傾向があると述べ、「国際的にも100ドル紙幣は最も偽造が多い」と話した。
シークレットサービスはこのほど、偽造100ドル紙幣7700万ドル分相当を過去15年にわたってイスラエルから米国に持ち込んでいたとされる組織を摘発した。この組織は米ニュージャージー州に工場を新設して精巧な偽札の製造に着手していたという。
犯罪組織は偽札を額面の約40%の値段で買い取り、街の薬局やホームセンターなどで使っていた。
100ドル紙幣は数年前にデザインを刷新しようとした際、印刷のトラブルが相次いだ経緯もある。新技術を使った偽造防止策も導入されたが、そうした対策は破られるのが常となっている。