企業に社員の体重「減量手当」を提案、財源不足の英保健当局
ロンドン(CNNMoney) 英国の国営保健サービス(NHS)は25日までに、一般企業に対し減量に成功した従業員に報奨金支給などを奨励する方針を決めた。地元紙サンなどが報じた。
NHSは2020年までには業務遂行で総額300億ポンド(約5兆2200億円)の資金不足に遭遇すると予想され、「減量手当」の発案で体重関連の病気に絡む公的支出額を抑えることを狙っている。
NHSは運営資金として財源不足に直面する政府に80億ポンドを要請する計画。残る資金は節約を通じてねん出する必要性に迫られている。
英国政府の公式統計によると、同国の成人の約3分の2は体重過多もしくは肥満の状態にあり、この傾向は特に低所得者層に目立つ。国民の肥満の比率で英国を上回るのは米国、メキシコにオーストラリアなど数少ない。
NHSは減量を実現させた企業従業員に現金の他、買い物券や賞品を配ることを想定。この報奨制度の規模は明かしていないが、一部の財源には税金投入を考慮している。制度を通じて健康な生活の重要性を訴え、運営資金や病休の日数削減などを目指す。
病気休暇で英国の企業経営者や納税者が被る負担額は年間約350億米ドル(約3兆7800億円)ともされる。また、病休で個人が失う所得額の総額は年間64億ドルと計算されている。
米国で最高の病院と評価されるメイヨー・クリニックは今年、減量奨励で月額20ドルの支給を受けた肥満者の62%が体重を落とすことに成功したとの調査結果を公表していた。逆に金銭的な報奨がなかった場合の減量の成功率は26%だった。
米国の企業も従業員に対し適切な体重管理を促す報奨制度を打ち出している。