米国に女性CEOが少ない理由とは
方向性は正しい
企業における性の多様性の問題がいずれ改善することを願う理由は他にもある。
カタリストによると、2013年のフォーチュン500社の女性取締役の割合は16.9%で、2000年の11.7%から増加した。これは重要なことだ。というのも、これらの女性取締役がCEOの雇用や、パイプラインの中にいる将来のリーダーを見出す役割を担うからだ。
人材コンサルタント会社RHRインターナショナルのトーマス・サポリトCEOによると、最近、取締役が女性の上級幹部を雇用するケースが増えているという。
「これは好ましい傾向といえる。女性の能力開発にも注目が集まっているが、経営陣、取締役会の双方が取り組むべき課題は多い」(サポリト氏)
また、ペプシコのインドラ・ヌーイ氏やジェネラル・ダイナミクスのフィービー・ノヴァコヴィック氏のような女性リーダーが雇用され、成功を収めれば、「CEOになれるのは男性だけ」という固定観念の打破にもつながるだろう。
では、性の多様性を促す立法は必要だろうか。ドイツなど欧州の一部の国では、一定割合の女性取締役の選任を義務付けることにより、男女格差を埋める試みがなされている。
米国ではクオータ(割り当て)のような強制手段は望まれていないようだ。しかしオーストラリアでは、公開会社は全上級管理職における女性の割合を公表することが義務付けられている。そのような中間的手段であれば、米国でも支持が得られるかもしれない。
また、女性にとってもクオータは両刃の剣だ。誰もクオータのおかげでポストを得た形だけの女性管理職と思われたくはない。その一方で、改革のペースが遅すぎるという認識もある。
マクグラス氏も「自分が女性だからという理由で職を得たら、最初からやる気が失せる」と述べる一方、「何の対策も講じず、成り行きに任せていたら、改革は遅々として進まない」と付け加えた。
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情報ソースと分析方法:このCNNMoneyの分析は、独立調査会社マークイットのデータに基づいている。このデータには、各企業が規制当局への報告書にリストアップしている上位5つの管理職が記載されている。CEO、CFO、COOなど、上位5つのポストは各企業が選択している。