米ミサイル攻撃で原油急騰、産油国の不安定化を懸念
香港(CNNMoney) シリア政府軍施設に米軍がミサイル攻撃を行ったのを受け、原油価格は急騰している。
アジア市場では7日午前、米国産原油の価格は2%以上、上昇した。
シリア政府軍に対する米国の初の直接的な軍事行動は、産油国が多い一方で政治的には不安定な中東地域に、さらなる不確定要素をもたらしている。
「地政学はしばしば、原油市場を大きく動かす要因になる」と、アクシトレーダーの主任市場ストラテジストであるグレッグ・マッケンナ氏は言う。同氏はシリアのアサド政権はロシアやイランの支援を受けていることを挙げ、「米軍の攻撃はさらなる政治的対立を引き起こす可能性がある」と述べた。
また、ロシアとイランはともに主要産油国であり、その反応は「石油取引に関係する人々の不安材料であり続けるだろう」とマッケンナ氏は述べた。非常に短期的には、そうした不安定さが価格を下支えすることになる」
米国産原油は3月初めに大きく値を下げていたが、7日には過去1カ月で最も高い値を付けた。アジア各地の市場では7日午前、先週の安値と比べると10%以上高い、1バレルあたり52.6ドル前後で取引された。
シリアは主要産油国ではないが、石油を運ぶタンカーが数多く通過するホルムズ海峡に近い。
また、有事の際にも比較的安全と見られる資産、つまり金や日本円の買いが進んでおり、金価格は過去5カ月の最高値に近い水準まで上げた。また、日本円の対ドルレートも0.7%ほど上昇した。