豪州、就労ビザを厳格化 「自国民第一主義」に
香港(CNNMoney) オーストラリアのターンブル首相は20日までに、技能を持つ外国人の就労を最長4年間まで認めてきた入国査証(ビザ)制度の変更を進めていることを明らかにした。
フェイスブックに掲載したビデオ声明で表明した。「豪州は移民の国であるが、豪州人による国内の職確保が優先される」と述べた。
変更の対象は労働市場の需給調整のため企業側に認められている通称「457ビザ」。今後は2年用と4年用の暫定ビザに分類される。対象だった職種は従来の651から435に減少させ、申請料も値上げする。発給は深刻な人材難に襲われる職種に限定する方針。
また、少なくとも2年の就業経験を持ち、より高い英語能力、より厳しい労働市場審査や犯罪歴調査も条件付ける。457ビザを既に保持している外国人は制度変更の対象外となる。
同国政府の公式データによると、同ビザの発給対象者は昨年9月末時点で約9万6000人。前年同期比で約8%減となった。保持者の国別ではインドが約25%、英国20%や中国6%など。
ただ、今回のビザ制度変更は豪州が受け入れている移民の水準に大きな影響を及ぼさないとの指摘も出ている。大きな政策転換のように見えるが実際は表面的な調整の色合いが強く、現行の制度内で実現可能なものになっていると見ている。同首相率いる連立政権内の右派をなだめるための巧みな政治的選択肢との見方もある。