米と通商摩擦のカナダ、ボーイングからのF18購入を撤回
シアトル(CNNMoney) カナダ当局は12日、米ボーイングからFA18戦闘機「スーパーホーネット」18機を購入する計画を撤回し、代わりにオーストラリアから中古の旧型FA18戦闘機を購入する方針を発表した。52億3000万ドル(約5900億円)規模の取引を失ったボーイングにとっては大きな打撃となる。
カナダのサージャン国防相は記者会見で、「オーストラリア政府から正式な申し出を受けた」と言及。この取引を推進する意向を表明した。
カナダのトルドー首相はかねて、ボーイングが同国の重工大手ボンバルディアに対する不当廉売の申し立てを継続すれば、ボーイングとの取引を停止すると示唆していた。今回の動きはこれを実行に移した形だ。
ボーイングは、ボンバルディアが同社の航空機「Cシリーズ」を不当な低価格で米デルタ航空に販売していると主張。米商務省は10月、Cシリーズの輸入に関し300%の予備関税を課していた。一方、ボンバルディア側は不公正な通商慣行を行っていることを否定している。関税に関する最終決定は来年2月に下される見通し。
ボーイングは声明で、「カナダ政府の決定を尊重する」と表明。新型スーパーホーネットの購入中止に伴うカナダでの雇用創出機会の喪失などに言及しつつも、今後カナダと協力していくための生産的な方法を引き続き模索するとの方針を示した。
カナダは老朽化した戦闘機の総入れ替えを進めたい考えで、オーストラリアからのFA18購入については当座しのぎの措置とする見方が大勢だ。