欧米人向け北朝鮮観光最大手、売り上げ半減 一連の危機が影響か
香港(CNNMoney) 欧米人向けに北朝鮮観光を扱う旅行会社としては最大手の「高麗グループ」は22日までに、今年6月以降の売り上げが少なくとも50%減少したと明らかにした。北朝鮮が核・ミサイル実験を加速させる中、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と言葉の応酬を展開したことなどが影響したとみられる。
今年は北朝鮮観光を扱う旅行産業にとって厳しい年となっている。トランプ氏と金正恩氏の応酬の他にも、平壌で拘束された米国人大学生オットー・ワームビアさんが解放直後に死亡したり、米国が国民の北朝鮮渡航を禁止したりするなど、打撃となる出来事が相次いだ。
ただ高麗グループの創業者の1人、ニコラス・ボナー氏は50%の売り上げ減少に言及したうえで、「売り上げはもっと落ちているのではないかと思うだろうが、奇妙なことに、依然として多くの人が北朝鮮国内で起きていることに魅了されている」と述べた。
北朝鮮に渡航する欧米人観光客の数は2013年以降、年間およそ4000人の水準で推移していた。北朝鮮渡航者の大部分を占める中国人観光客の数も減少しているとの情報もある。
ワームビアさんの死にもかかわらず、ボナー氏は米国以外の国の観光客は北朝鮮を避けるべきではないとの考えで、「ルールを守りさえすれば安全だ」と話す。高麗グループの顧客の大部分は英国人やドイツ人、オーストラリア人、カナダ人が占めている。
高麗グループは中国・北京に拠点を置いている。北朝鮮入国前にすべての旅行客に対し1時間の説明を行っているほか、観光中は全日程を通じて職員が同行するという。
高麗グループのような会社に対しては、世界で最も抑圧的な政権の一つに商機をもたらすことに関して倫理的な問いも突きつけられている。