中国の自動車大手会長、独ダイムラーの筆頭株主に
香港(CNNMoney) ドイツの自動車製造大手「ダイムラー」は3月1日までに、中国の同業企業「浙江吉利控股集団」の李書福会長がダイムラーの株式総数の約10%を取得したとの開示資料をドイツで公開した。個人としてはダイムラーの筆頭株主になる。
約1億360万株で、取得額は90億米ドル(約9630億円)相当。開示資料によると、取得の主体は李書福会長が関係する投資企業となっている。
同会長は中国では指折りの富豪で資産規模は推定約180億ドル。ダイムラーへの今回の出資の動機は不明だが、クリーンエネルギー技術の獲得が目的との見方がある。技術の入手で中国の電気自動車市場での競争力を確保するのが狙いとしている。特に電気自動車の分野でダイムラーは浙江吉利控股集団に好適な先端技術を持つとの指摘もある。
同会長は最近の声明で、ダイムラー買収に関心はないと主張。技術的な高みに到達するため友人、パートナーや同盟関係を持たなければならないと述べていた。
世界最古の自動車メーカーで高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」などを擁するダイムラーは声明で今回の取引を歓迎。「自動車業界の変革を建設的に話し合える相手」と評価した。
同集団は欧米の同業企業への関心を強めており、2010年には米フォードからスウェーデンのボルボの株も買い取っていた。
中国は現在、自動車では世界最大の市場で、欧米のほぼ全ての自動車企業が事業を展開している。地元の企業と組むのが通常の進出手段で、ダイムラーの中国側の連携企業は浙江吉利控股集団でなく「北京汽車」となっている。