豪クイーンズランド州で洪水、推計50万頭の牛が死亡 畜産農家に打撃
(CNN) オーストラリア北東部クイーンズランド州を襲った記録的な洪水により、州内の畜産農家で飼育されていた牛が大量に死んだとみられ、深刻な打撃が懸念されている。
現地のCNN系列局が当局の話として伝えたところによると、州北部では先月末から続いた豪雨で50万頭近い牛が死んだと推定され、損害額は3億豪ドル(約236億円)に上るとみられる。
同州では過去7年間、干ばつが続いていた。農家が数年ぶりの本格的な雨に喜んだのもつかの間、その雨が未曽有の洪水と被害をもたらすことになった。
牛の死骸は雨が上がった後、記録的な猛暑にさらされている。焼却するか埋めるかの処分をしなければ、衛生上の問題が起きるとの指摘もある。
牛肉生産はオーストラリアの主要産業の一つ。クイーンズランド州の畜産業を代表するロビー団体「アグフォース・クイーンズランド」のマイケル・ゲリン最高経営責任者(CEO)は、今回の洪水を「人道危機」「前例のない大規模災害」と呼び、牛肉産業の復興までには数十年かかるとの見方を示す。
洪水で道路が寸断され、生き残った牛も多くが孤立している。当局は上空から飼料を投下しているが、広大な被災地の全体には行き渡らない可能性がある。
被災した畜産農家には州政府から緊急支援金が支給されるとはいえ、経営再建への道のりは険しい。飼育していた牛の約半数を失う見通しだという農家の女性は、CNN系列局とのインタビューで「オーストラリアの主要産業が崩壊の危機にある」と訴えた。