米モルガン・スタンレー、1.4兆円でEトレード買収 個人向けに本腰
ニューヨーク(CNN Business) 米銀大手モルガン・スタンレーは20日、米ネット証券大手のEトレードを130億ドル(約1兆4000億円)で買収すると発表した。モルスタが個人向けサービスに本腰を入れていることを示す動きだ。
買収の報道を受け、Eトレード株は午前の取引で24%上昇、モルスタ株は4%あまり下落した。3カ月ほど前には、Eトレードと競合するチャールズ・シュワブとTDアメリトレードが260億ドル規模の経営統合を発表していた。
米証券業界では昨年、ほぼ全ての企業がネット取引の手数料を無料化。かつての稼ぎ頭だった収益源が絶たれ、ディスカウントブローカー(手数料が割安な証券会社)はビジネスモデルの修正を迫られていた。
「ロビンフッド」のような人気投資アプリの登場により、証券売買はコモディティー化(一般化)しつつある。顧客の奪い合いは熾烈(しれつ)で、各社が差別化のために新サービスを立ち上げている状況だ。
こうした中、市場ではEトレードがモルスタか米金融大手ゴールドマン・サックスによる買収の標的になる可能性が取り沙汰されていた。
Eトレードが先月発表した2019年10~12月期の決算は、1株利益が前年同期比約30%減とアナリスト予想を下回った。総売上高は8%減、手数料の売上高は54%減だった。
しかしモルスタとの統合と同時に、法人と個人の両方の分野で金融業界屈指の企業となる。
Eトレードは520万人以上の一般投資家と3600億ドル超の資産を抱えており、富裕層向けの色合いが濃いモルスタの資産運用部門にとってプラスになりそうだ。現在、モルスタ資産運用部門の顧客は300万人で、資産は2兆7000億ドル。