コロナ禍で自転車が品薄に、販売店の8割「在庫を懸念」 米
ワシントンDC(CNN) 米南部テキサス州ヒューストンで、エリック・アッタイさんが営んでいる自転車販売店は、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか多くの事業者が夢見るような状態に生まれ変わった。ディスプレーのために組み立てる間もなく、自転車が売れていくのだ。
アッタイさんによれば、5月が始まるころには昨年の売り上げと同額を売ったという。需要にこたえるため新しく従業員を雇わねばならず、2月以来、1日の休みも取れていないという。
米国の失業率が過去最高の水準を記録し、中小企業が生き残りに苦労するなか、自転車販売店は例外のようだ。
自動車の利用が多いヒューストンやロサンゼルスをはじめ、自転車の利用が昔から多かったオレゴン州ポートランド、ニューヨーク、ワシントンでも自転車販売店は繁盛している。在庫の確保や時間通りに自転車の修理を終えることが難しくなっている。
業界団体によれば、販売店の83%が在庫の水準に懸念を表明している。製造業者も需要に追い付こうと苦慮している。
新しい顧客は屋外で活動する方法を探している。新型コロナウイルスの感染拡大によって、ジムやヨガ教室などが営業を停止していることが追い風となっているという。公共交通機関以外の通勤手段として自転車に目を向けている人もいるという。自転車や自動車など個人利用の移動手段なら他人との距離も保ちやすい。
小売りの状況を調べているNPDグループによれば、2020年3月の米国での自転車の販売は前年同月比で39%増加した。
アッタイさんは、「自転車は、新しいトイレットペーパーのようなもの。手に入るなら、買わないと」と語った。