ドイツ政府、上場企業に女性役員の任命を義務付けへ
ロンドン(CNN Business) ドイツ連立政権は、上場企業に対して女性役員の任命を義務付けることで合意した。国内からは画期的な出来事として称賛する声が上がっている。
ドイツ家族・高齢者・女性・青少年省の20日の発表によると、3人以上で構成される執行役会がある上場企業に対し、少なくとも1人の女性執行役任命を義務付ける。この措置は来週にも正式決定される見通し。
フランツィスカ・ギファイ女性・家族相は「大企業の女性がいない執行役会を終わらせる」と述べ、今回の決定を「歴史的な突破口」と位置付けた。
ドイツの著名女性指導者の1人でシーメンスの最高人事責任者を務めたヤニナ・クーゲル氏は、このニュースを歓迎している。
ドイツは女性執行役の起用に関して主要国の中でも後れを取っている。非営利組織のオルブライト財団によると、ドイツの大手上場企業30社の執行役会で女性が占める割合は12.8%にとどまる。
これに対して世界各国で上級幹部に女性が占める割合は米国で28.6%、スウェーデン24.9%、英国24.5%、フランスは22.2%となっている。
ドイツの大手企業の中で、女性が経営の先頭に立つ企業は1社もない。
それでも両性の平等を推進する手段として法的に拘束力のある割当制を導入することに対しては、女性が不公平に昇進させられたり、不公平な昇進とみなされたりする可能性があるといった反対意見もある。それでも割当制がなければ進展は遅い。
実業界や市民団体、学会や芸術界でもここ数カ月の間に法制化を求める女性の声が強まり、ソーシャルメディアでキャンペーンが展開されていた。
ドイツでは2015年に監査役会への女性の任命が義務付けられた。欧州連合(EU)の専門機関によれば、その結果、大企業の監査役会の女性比率は36%に高まった。ドイツの企業統治のシステムでは、監査役会は執行役会を監督する一方、日々の業務の決定には関与していない。
EU加盟国ではベルギー、フランス、イタリア、オーストリア、ポルトガルの5カ国が、上場企業の役員に性別に基づく割り当てを義務付けている。