資産家レイ・ダリオ氏、米国の格差拡大に警鐘 「対立深まる可能性も」
ニューヨーク(CNN Business) 世界最大級のヘッジファンドの創設者である米資産家レイ・ダリオ氏がこのほど、バイデン次期大統領の就任を前にCNNのインタビューに応じ、国内の分断と深刻な格差に懸念を示した。
インタビューの模様は22日に放送された。ダリオ氏はこの中で、指導者は格差拡大や政治の分極化、債務増大に早急に対処する必要があると警鐘を鳴らしている。
ダリオ氏は「大多数の国民のために機能する、生産性のあるシステム解決策が必要だ」と指摘。「賢明かつ超党派的なやり方でそれを実現できなければ、解決の過程で対立拡大を招く」と述べた。
新型コロナウイルスの流行は米国のシステムの不平等さを浮き彫りにした。陶酔感に包まれる金融市場で株価が史上最高値を更新する一方、実体経済は危機的状況にある。
シカゴ大とノートルダム大の研究チームによると、米国では6月以降に800万人近くが貧困層に転落した。国勢調査によれば、直近1週間で食料不足を経験した世帯に暮らす成人は2700万人を超える。
その一方で、今年は大統領選に加え、選挙結果を覆そうとするトランプ大統領の試みもあり、米国政治の傷はさらに深まっている。
ダリオ氏は「私は過去500年の歴史とサイクルを調べてきたが、こうした事態は繰り返し起きている」と説明。「資産格差やバリューギャップ(価値のかい離)の拡大とともに債務増大と景気低迷が起こり、対立やぜい弱性が生まれる」と指摘する。
ダリオ氏は1975年にヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」を創設。現在は共同会長を務めている。