インフレ下で利下げ、トルコリラが暴落 政治介入との批判
ロンドン/イスタンブール(CNN Business) トルコが新たな通貨危機に陥っている。中央銀行がインフレ下で利下げを実施する異例の決定を下したことを受け、投資家が一斉にトルコリラを売っているためだ。
リラの値動きは24日に安定したものの、23日には対ドルで一時15%あまり下落した。年初来の下げ幅は40%に上る。
トルコ中央銀行が先週末に政策金利を1%引き下げたのを受け、リラは23日まで11日連続で下落。10月のインフレ率は前年同月比20%だが、政策金利は9月以降、19%から15%へと4%も引き下げられている。
専門家や野党からは、エルドアン大統領が中央銀行に利下げを迫る政治介入を行っているとの批判が上がる。
エルドアン氏はかねて、利下げがインフレ対策になりうるとの異端の見解を擁護してきた。中央銀行は通常、インフレ高進時には経済の過熱を食い止めるため利上げに動く。
米金融大手ゴールドマン・サックスのストラテジストらは23日、「この圧力は政策変更があるまで和らがないと思う。重要なのはそれが正統的なものになるか、異端的なものになるかだ」との見方を示した。
ただ、エルドアン氏は姿勢を軟化させる兆しを見せていない。今週の演説では政府の金融政策を擁護し、トルコは「独立戦争」に勝つと表明。低金利はインフレ抑制および生産や輸出の押し上げにつながるとも主張した。
トルコ中央銀行は声明で、外為レートは「自由市場の力学によって決定される」と述べ、足元の売りは非現実的であり経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)からかけ離れているとしている。