中国、対米輸入目標達成ならず トランプ前政権と合意も
ワシントン(CNN) 米国からの製品・サービスの輸入を増やすとした中国による2020年の約束が、目標を大きく下回る水準にとどまったことが8日に公開された報告書で明らかになった。トランプ前政権時代の20年に結ばれた合意に基づくものだが、目標とした輸入額に2130億ドル以上足りなかった。
「第1段階」の合意として知られるこの約束は、中国政府が米国からの輸入を米中貿易戦争が始まる前の17年より2000億ドル増やすという内容。合意の署名を受け、当時のトランプ大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席はともに関税率の引き上げを停止した。
合意は中国に対し、輸入に関する約束を21年末までに果たすよう求めている。中国が目標値を達成する見通しは全く立っていなかったが、ピーターソン国際経済研究所が発表した新たな報告から、中国による過去2年間の対米輸入の実態が初めて完全な形で浮かび上がった。
それによれば、結局のところ中国は合意で約束した分の57%しか米国製品を輸入していなかった。報告は商務省から入手した新たな貿易データの分析に基づく。合意で約束した2000億ドル分の追加の輸入は全く行われなかったという。
合意からわずか数週間後には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって世界中で貿易が停滞した。それが中国による輸入の約束の履行を一段と困難にしたとみられる。
しかし専門家は当初から、中国が野心的な輸入目標を達成できるのかどうかについて懐疑的だった。合意では製造業、農業、サービス、エネルギーの分野で具体的な目標額が設定されていた。約1年半に及ぶ関税引き上げの結果、米国の輸出業者と中国の輸入業者の関係は冷え込んでおり修復が必要な状況だった。加えて、合意後も関税は維持されたので、米国製品の価格は高いままだった。
「第1段階」の合意には、中国が目標を達成できなかった場合に不利益を被るような内容は一切盛り込まれていない。
それでもバイデン大統領は先月、中国側の目標未達が対中関税を維持する理由だとの見解を示唆。経済界からの圧力にもかかわらず、これを撤廃しない考えを明らかにした。