ロシア石油生産、近く3割減の可能性 IEAが供給危機に警鐘
ロンドン(CNN Business) 国際エネルギー機関(IEA)は16日、ロシアが近く原油生産の3割削減を余儀なくされる可能性があると指摘した。サウジアラビアなどの主要なエネルギー輸出国が増産を始めない限り、世界経済はここ数十年で最大の供給危機にさらされると警鐘を鳴らしている。
ロシアは原油輸出量で世界第2位。IEAによると、大手石油会社や商社、海運会社がロシア産石油を敬遠し、ロシア国内でも需要が低迷するなか、4月には日量300万バレルの生産削減を強いられる可能性がある。
ロシアはウクライナ侵攻前、日量約1000万バレルの原油を生産し、その約半分を輸出していた。
IEAは月次報告書で「世界市場へのロシア産石油の輸出が失われることの意味合いは、決して小さくない」と説明。今回の危機がエネルギー市場に長期的変化をもたらす可能性もあると指摘した。
ロシア産石油についてはカナダや米国、英国、オーストラリアが輸入を禁じており、ロシアの輸出の約13%に影響が出ている。しかし、大手石油会社や世界の銀行が取引停止に動いているため、ロシアは原油を大幅に割り引かざるを得ない状況だ。
欧米の大手石油会社は相次いでロシアでの合弁事業や提携を解消したほか、新規プロジェクトも停止した。15日には欧州連合(EU)が、ロシアのエネルギー産業への投資禁止を発表した。
今のところ、需給ひっ迫が緩和する兆しはほとんどない。世界で大幅な余剰能力を持つ国はサウジとアラブ首長国連邦(UAE)のみ。両国を含む石油輸出国機構(OPEC)加盟国やロシアなどで構成する「OPECプラス」はここ数カ月、日量40万バレルずつの小幅増産を行っているが、増産目標を達成できないことも多い。