「沈黙を保つことは不可能だった」 ロシア国営テレビで反戦運動の職員が告白
ロンドン(CNN Business) ロシアのプーチン大統領がウクライナで行っている戦争に抗議して、国営テレビのニュース番組で生放送中に反戦運動を展開したジャーナリストの女性が16日、CNNのインタビューに応じ、「沈黙を保つことは不可能だった」と動機を語った。多くのロシア人がウクライナ侵攻に反対していることを世界に知ってほしいと訴えている。
反戦運動を展開したのはロシア国営「第1チャンネル」の編集者マリーナ・オフシャニコワさん。16日のCNNの番組の中で、ロシア国営テレビが伝える内容と現実との乖離(かいり)を多くのロシア人ジャーナリストが目の当たりにしていると述べ、自身の母親でさえも、国家のプロパガンダに「洗脳されている」と語った。
「自分が信じることと、彼らが放送で言うこととの間に私が感じる認識の不一致はどんどん強まっていった」とオフシャニコワさんは言う。「戦争は後戻りできない所まで来ていた。ただ沈黙を保つことは不可能だった」
14日、オフシャニコワさんは「ノー・ウォー」の言葉を掲げてキャスターの後ろに立った。自分がまだ幼なかった頃に起きた、ロシア軍によるチェチェン空爆の記憶に突き動かされての行動だった。
「私はロシアの兵士たちのことを心配している。なぜこうしなければならないのか、なぜ自分たちが戦っているのかを、彼らが本当に理解できているとは思えない」
オフシャニコワさんは「無許可の公的イベント」を組織したとして15日、モスクワの裁判所で有罪を言い渡され、「行政違反」で3万ルーブル(約3万7000円)の罰金を命じられた。
抗議運動は当初、カメラの背後に立つつもりだったという。しかし自分のポスターを視聴者に見せるためにはキャスターに近づく必要があると認識した。
「直前まで怖かった」とオフシャニコワさんは打ち明ける。しかし「スタジオの前に立つ警備員を突破して、司会者の後ろに立てると判断した。そこで素早く動いて警備を通過し、自分のポスターを掲げた」と振り返った。