ロシア富豪ティンコフ氏、プーチン氏の「常軌を逸した戦争」を批判
ロンドン/パリ(CNN Business) ロシアの富豪で大手オンライン銀行の創業者であるオレグ・ティンコフ氏がこのほど、ウクライナでの「常軌を逸した戦争」を批判し、プーチン大統領による出口戦略の模索を支援するよう西側諸国に促した。
ウクライナに対するロシアの戦争は2カ月足らず前に始まった。国連機関によると、これまでに数千人の民間人が死傷し、数百万人が国外に避難したとされる。
ティンコフ氏は2006年にティンコフ銀行を創業した人物。インスタグラムへの19日の投稿で、ロシア人の9割は戦争反対であり、クレムリン(ロシア大統領府)の当局者はもう地中海で夏を過ごすことができないことにショックを受けていると主張した。
さらに「この常軌を逸した戦争から恩恵を受ける者など誰ひとりいない」と書き込んだ。
英国は先月24日、ロシアの「違法な侵攻を支援した」としてティンコフ氏ら65個人・団体に制裁を科していた。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同氏はティンコフ銀行の親会社TCSグループを35%所有しており、資産総額は約35億ドル(約4500億円)に上る。
投稿ではロシアの戦車に塗られ、今回の戦争に対する支持の印となった「Z」のシンボルにも触れ、「Zの文字を書くバカがいるが、どの国にも1割はバカがいるものだ。ロシア人の9割は戦争に反対している」と強調した。
投稿の最後では英語に切り替え、西側諸国に「プーチン氏が面目を保ちつつ虐殺をやめられるよう出口を明示してほしい」と訴えた。
ロシアの財界人からはこれまでも平和を呼び掛ける同様の声が上がっている。
ロシアの石油会社ルクオイルが紛争終結を呼び掛けているほか、オリガルヒ(新興財閥)のミハイル・フリードマン、オレグ・デリパスカ両氏も2月下旬、今回の紛争への反対を表明した。