ノルウェーの油田がストで閉鎖、欧州に新たなエネルギー不安材料
ロンドン(CNN Business) ノルウェーの石油・ガス業界の労働者が5日ストライキに入ったことを受け、欧州のエネルギー問題はさらに深刻なものになった。北海の3つの油田が閉鎖され、天然ガス価格が高騰した。
ノルウェーの国営エネルギー会社エクイノールは、一部の従業員が賃上げを求めてストライキを起こしたため、油田を閉鎖したと発表した。
エクイノールは声明で、3つの油田の総生産量は1日約8万9000バレルで、このうち30%超が天然ガスだと説明した。
欧州連合(EU)統計局のデータによると、ノルウェーの昨年の欧州への天然ガス供給量はロシアに次いで2番目に多かった。今回の混乱は、欧州にとって重大な局面を迎えている中でのものだ。
欧州はロシア産への依存度を下げようとしており、ロシアはすでに輸出を減らしている。ノルウェーの生産減が続けば、冬に備えた天然ガス貯蔵の補充に大きな打撃を与え、壊滅的なエネルギー不足のリスクを高めることになる。
欧州最大の経済国であるドイツはすでに「天然ガス危機」を宣言し、冬を乗り切るために配給制を導入する可能性も否定できないと警告している。
インターコンチネンタル取引所のデータによると、ストライキのニュースを受けて欧州の天然ガス先物価格は5%上昇し、1メガワット時あたり172ユーロ(約2万4000円)を記録した。これは、ロシアによるウクライナ侵攻後の3月初旬以来の高値だ。
状況はさらに悪くなりそうだ。ノルウェーの労働者は6日に再びストライキを行う予定で、そのためさらに3つの油田が閉鎖されるとエクイノールは述べた。これらの油田は1日約33万バレルを生産し、うち約80%は天然ガスだ。
ストライキは9日にも予定されており、ロイター通信の計算によると、ノルウェーのガス生産量の約4分の1、石油生産量の15%の生産が停止する可能性があるという。エクイノールは、3日目のストライキの影響は「まだ明確になっていない」とした。
ノルウェー石油ガス協会が5日発表したところによると、同国の天然ガス輸出は3日間のストライキで60%削減される見込み。
「ノルウェーの輸出は欧州のエネルギー供給の4分の1を占め、ロシアの供給削減により欧州の天然ガス市場が非常に厳しい今、ノルウェーの輸出に完全に依存している」と同協会は声明で指摘した。
EUの労働調査機関である欧州生活労働条件改善財団(ユーロファウンド)によると、ノルウェー政府はストが住民の「生命と健康」を脅かすと判断すれば、理論的には組合幹部とエクイノールを交渉のテーブルにつかせることができる。しかし、過去には介入に異論があったようだ。