米アラスカ州沖のズワイガニ漁、初めて禁漁に 数十億匹が周辺の海から消滅
(CNN) 米アラスカ州沖のベーリング海で行われていたズワイガニ漁が、今年初めて中止になった。ベーリング海のズワイガニは、ここ数年で数十億匹が姿を消している。
アラスカ州漁業委員会と北太平洋漁業管理協議会はこのほど、ベーリング海のズワイガニの個体数が、漁を解禁できる基準値に満たなかったと発表した。
アラスカ州漁業狩猟局によると、ズワイガニの個体数は2018年の約80億匹から、21年には約10億匹へと激減した。
ベーリング海で水揚げされるカニの中で、ズワイガニは突出して多い。それだけに「メスや幼生も含めて何十億匹もいなくなったのはショックだった」と同局の専門家は指摘する。
発表によると、今年はブリストル湾のタラバガニ漁も2年連続で禁漁となった。
州漁業狩猟局の専門家は禁漁の理由として、自然増加数を超える量のカニが、ベーリング海で水揚げされている可能性があると説明した。
21~22年にかけての調査によると、成体のオスのズワイガニは約40%減少し、残された量はベーリング海全体で約2万トンと推定される。
米海洋大気局(NOAA)の専門家は、ズワイガニの激減には気候変動が重大な影響を及ぼしていると指摘する。
ズワイガニは水温が2度以下の冷たい海に生息する。しかしアラスカ周辺で海水温が上昇し、海氷が解ける中、ズワイガニの生息は難しくなりつつある。