南アのブドウ園、捕食性スズメバチをドローンで投下 害虫駆除に成功

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南アフリカのブドウ園では病原体や殺虫剤からブドウを守るため捕食性のスズメバチを活用している/Judy Bryant

南アフリカのブドウ園では病原体や殺虫剤からブドウを守るため捕食性のスズメバチを活用している/Judy Bryant

(CNN) 南アフリカ西ケープ州にあるフェールヘレーヘン・ワイン・エステートは130ヘクタールのブドウ園を病原体や殺虫剤から守るために、型破りな方法を採用している。捕食性のスズメバチをドローン(無人機)で投下しているのだ。

このプロジェクトは、スカイバグズ社が進めている。スカイバグズは、捕食性の昆虫を供給するフィールドバグズ社と、ドローン操縦士のネットワークと連携して昆虫を正確に分散させるアグリテック企業エアロボティクス社との提携で誕生した。

捕食性のスズメバチは南アフリカなどで害虫駆除に利用されることが増えている。エアロボティクスによると、スカイバグズのドローンはカートリッジを備えたモーター駆動の機構を搭載して、ブドウ園の約30メートル上空を飛行する。モーターが回転するとプラスチックフィルムが広がり、スズメバチのさなぎが放出されるという。

1回の飛行範囲は最大20ヘクタール。1ヘクタールあたり500匹の南アフリカ原産のスズメバチが放出される。

この体長3ミリの小さなスズメバチの標的はコナカイガラムシだ。この害虫は葉巻病として知られる病気のウイルスを広めることでブドウを弱らせ、収穫全体に悪影響を及ぼす。

農家がコナカイガラムシを駆除するには、費用も時間も人手もかかる。スカイバグズによると、ドローンによる空中散布は殺虫剤を散布するよりも迅速で、はるかに費用対効果が高いことが証明されている。殺虫剤は環境や生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。

投下されたさなぎが成虫になると、コナカイガラムシのフェロモンに引き寄せられる。スズメバチはコナカイガラムシの中に卵を産みつけ、寄生して内側から食べ尽くすことで宿主を死滅させる。

フェールヘレーヘンのブドウ栽培家は、農園の葉巻病は根絶したと話す。

フェールヘレーヘンのチームは20年以上にわたり、ウイルス学者で葉巻病ウイルスの専門家であるゲルハルト・ピーターセン氏と緊密に連携してきた。

ピーターセン氏によると、スズメバチはこの地域に生息しているため、ブドウ園に放つ数が増えても「意図しない結果」は生じないはずだと話す。「スズメバチはコナカイガラムシだけを食べ、その後死ぬ」

この地域でリンゴ、ナシ、かんきつ類などの果物を栽培している他の農家は、害虫駆除のためにドローンを使って果樹園に他の捕食性昆虫を投下している。

価値ある産業

南アフリカでワイン生産者などを代表する非営利団体によると、同国は世界10大ワイン生産国の一つで、昨シーズンは推定120万トンのブドウを収穫し、バリューチェーン全体で約27万人を雇用している。葉巻病ウイルスはこのワイン産業に悪影響をもたらしているという。

フェールヘレーヘンのブドウ栽培家ルドルフ・クリエル氏は、健康なブドウ園は20年以上生産力を維持できるが、ブドウの木が葉巻病ウイルスに感染すると、その半分の期間しか持たず、最後の数年間は収穫量がほとんどないかまったくないと説明する。

フェールヘレーヘンではウイルスを制御するためのさまざまな対策を実施してきた結果、赤ブドウ品種の葉巻病ウイルスの感染率は0.05%未満、白ブドウ品種では0.3%未満だ。ビーターセン氏は「農場では葉巻病ウイルスはほぼ根絶した」と話し、フェールヘレーヘンは「環境的に持続可能な方法で葉巻病を制御しているモデル農園と世界的にみなされている」と語った。

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