稀少なベアードバクの赤ちゃん誕生 米動物園
本来、母バクは出産後、まず自分の歯でやさしく胎のう(赤ちゃんを包んでいる小さな袋)を開いて、赤ちゃんが自分で呼吸できるように袋の外に出してあげる必要がある。しかし、ヒューストンはそれをせず、いきなり胎盤や後産を食べ始めてしまった。そのため、フェリックスは胎のうの中で窒息状態に陥った。
そこで、動物園のスタッフは母バクを別の房に移し、ブラウン氏がフェリックスを胎のうから救出した。しかし、この時点でフェリックスは呼吸をしていなかった。そこでスタッフは人間に行うような心肺機能蘇生(CPR)を開始した。
「(フェリックスの)鼻の中には多量の液体が入っていたため、まずそれを(自分の口で)吸い出す必要があった」とブラウン氏は語り、さらに次のように続けた。
「その時はとにかく必死で、液体の味などまったく意識しなかった、と言いたいところだが、実際は意識せずにはいられなかった。(ため息交じりに)液体を吸い出している時はまさに鼻水が止まらない時のような感覚で、液体は鼻水と同じでネバネバしてしょっぱかった。吸い出した後、すぐに吐き出した。つらかったが、やるしかかなかった」
約15分間の人工呼吸と心臓マッサージの後、フェリックスはついに自分で呼吸を始めた。それから数週間たった今、フェリックスはすっかり元気になり、インターネット上で人気者になっている。