7000年前のミイラに腐敗の危機 チリ
(CNN) 現在の南米チリからペルーにかけての沿岸部で7000年前から作られ、これまで良好な状態で保存されてきたミイラが、今になって急激な腐敗の危機にさらされているという。米ハーバード大学の研究チームが9日に発表した論文で明らかにした。
この地域にかつて住んでいたチンチョロ人には人が死ぬとミイラにする習慣があり、3000年以上にわたってミイラを作り続けていたという。最も古いものはエジプトのミイラより2000年も前にさかのぼる。
ところがチリ北部にあるタラパカ大学の考古学博物館では、120体あるミイラのうち数体で腐敗が進み、黒ずんだ状態になった。湿度の上昇によってミイラの皮膚で微生物が繁殖したことが原因とみられる。同地域ではここ数年、湿度が上昇傾向にあった。
ハーバード研究者の調査で湿度の影響が確認されたため、同博物館はミイラ保全のための対策を講じた。
しかしチリ北部の峡谷に埋まっている何百体ものミイラについては対策が難しく、腐敗が進むことが懸念されている。