宇宙で熟成したお酒の味は? 宇宙ステーションで実験
(CNN) 国際宇宙ステーション(ISS)に24日到着した補給船の4.5トンの積み荷の一部として、サントリーが蒸留酒を宇宙に送り出した。蒸留酒が宇宙に出るのは初めて。
ただし宇宙ステーションで飲み会が開かれるわけではない。目的は、宇宙でお酒の熟成の進み方が早くなるのかどうかを検証することにある。
サントリーによると、アルコール飲料は長期間の熟成でまろやかさが増すことが分かっており、同社などの研究グループは「液体の対流を抑制した環境では、アルコール飲料の分子構造の高次化が促進され、まろやかさが形成される可能性」があるという仮説を立てた。
この仮説を検証するための実験に、宇宙ステーションの微小重力環境を利用する。
実験ではアルコール度数40%の蒸留酒5種類で構成されるサンプルを2セット用意して、1セットは日本国内で、もう1セットはISSに搭載した日本実験棟の対流のない環境で、来年まで保管する。
もっともこうした実験は、純粋な科学というより業界の宣伝ネタにすぎないのではという見方もある。しかしウイスキー専門家のトム・フィッシャー氏は「科学的にもきっと何かが起こるはず。何よりロマンがある。宇宙にあったバーボンを飲むという興味深いストーリーが、主観的においしいはずだと感じさせる」と予想する。
実験がうまく行き過ぎた場合のリスクもあると同氏は指摘した。「もしも素晴らしい味わいになるという結果が出たらどうするのか。(サントリーは)すべてのたるを宇宙に送り込むのだろうか」