ふん便が薬に、新治療「ふん便移植」が脚光 9割で症状改善
血液と便に関しても、感染症にかかっていないことを確認するため、さまざまな検査をパスしなければならなかった。
こうした選抜を経た後に残るのは、ドナー候補のうちわずか3%。エリックさんは自身の便の状態について何も知らなかったが、「ほとんど完璧に近いことが判明した」と話す。
選ばれた便は買い取られる。オープン・バイオームは22人のドナーに対し、1サンプルにつき40ドル(約4800円)を支払っている。ドナーは毎日にでも便を提供することを求められており、エリックさんはこれまで約1000ドル(約12万円)を稼いだ。
オープン・バイオームの研究責任者、マーク・スミス氏は「ドナーを見つけるのは、かなりの時間と労力がかかる」と指摘。ドナーを見つけた場合、なるべく頻繁に便を提供してもらい、その時間に見合うだけの謝礼を払いたい考えだという。
エリックさんの便にこれほどの値段が付くのは、腸内細菌が理由だ。
人間の腸内には善玉菌と悪玉菌を合わせて100兆超個の腸内細菌が生息。患者が感染症対策として抗生物質を摂取すると、善玉菌が殺される一方で、クロストリジウム・ディフィシルを含む悪玉菌は増殖してしまう場合がある。