ふん便が薬に、新治療「ふん便移植」が脚光 9割で症状改善
そこでエリックさんの腸から得られるような健康な細菌を患者の腸内に注入すると、有害なクロストリジウム・ディフィシル菌を追い払うことができる。「ふん便移植」と呼ばれる治療法で、内視鏡を使い下半身から注入することも、チューブを通じて鼻から投与することも可能だ。
オープン・バイオームのドナーは約5000本の治療液を生み出し、驚くことに90%の患者の容体が快方に向かったという。
スミス氏は「患者にとって本当に大きな転機となるだろう。1日に20回トイレに行っていたのが、移植の直後から翌日には、腸の動きが正常になるのだから」と述べる。購入費は385ドル(約4万7000円)。米国内47州の350以上の病院に治療液を提供している。
研究室では技術員のクリスティーナ・キムさんが、便を治療液に転換する方法を実演してくれた。
まずは便の粘度を点検。傍らには英ブリストルの病院で開発された、便の状態を7段階に分けるチャートがある。チャートで「ナッツ状」「ゴツゴツしている」とされる1~2段階の便は乾燥しすぎており、処理できない。一方、「かゆ状」「水便」とされる6~7段階の便の場合も、ドナーの胃腸が感染症にかかっている恐れがあり使用できない。