17世紀の英ペスト大流行、DNA鑑定で初めて原因を特定
(CNN) 1665年に英ロンドンで大流行して年間7万5000人超を死亡させたのは、ペスト菌が引き起こす腺ペストだったことが、DNA鑑定を通じてこのほど初めて実証された。ロンドン考古学博物館などの研究チームが発表した。
この年の大流行では当時のロンドンの人口のほぼ4分の1が死亡。ピークだった9月には1週間だけで8000人が死亡した。原因は腺ペストとする説が有力だったが、これまで確認はできていなかった。
しかしロンドン市内で地下鉄の延伸工事中に見つかった集団埋葬地を2015年に発掘調査したところ、1665年の大流行で死亡したと思われる17世紀の遺骨42柱が見つかった。
研究チームがその遺骨から採取したDNAを調べた結果、腺ペストを引き起こすペスト菌のDNAと一致することをが判明。発掘調査を主導したロンドン考古学博物館の専門家ダン・ウォーカー氏は「1665年のペスト大流行の原因が初めて分かった」と解説している。
ペスト菌はネズミなどの小動物を通じて人間に感染し、発熱や嘔吐(おうと)などの症状が表れて、放置すれば最大60%の確率で死亡する。今もアフリカを中心とする地域で年間数百人が感染し、2013年には780人の感染が報告されて126人が死亡した。
研究チームでは今回の発見について、現代の腺ペストに関する研究にも役立てられると期待を寄せている。