インド、南アジア共有の衛星打ち上げ パキスタンは不参加
ニューデリー(CNN) インド宇宙研究機関は7日までに、南アジア諸国と共同利用する通信衛星「南アジア衛星」を打ち上げたと発表した。この事業費用は3600万米ドル(約41億円)以上で、インドが全面的に負担した。
ただ、カシミール地方の領有権論争などでインドと対立するパキスタンは事業に参加していない。パキスタン外務省の報道官は、同国は当初、参加に強い関心を抱いていたとしながらも、インド側の協力態勢に問題があったため断念したと述べた。パキスタン側の不参加の理由が同衛星を使ったスパイ活動への懸念との見方は否定した。
南アジア衛星の重さは2230キロで、最新型の通信用の送受信装置12個を搭載。この他、自然災害管理や天候予報に役立つ情報も処理出来る。特にサイクロン、熱波、地震、津波、地滑りや洪水などの災害が多い南アジア地域にとって自然災害対策につながる情報共有は大きな恩恵を及ぼすとも受け止められている。
インドは南アジア衛星事業を、今年2月にロケット1機で104個の小型衛星を打ち上げた以来の最重要な宇宙事業ととらえている。
同衛星事業は数年前、南アジア地域協力連合(SAARC)に加盟する8カ国全ての共同利用を目指して発案された。
インドは南アジア衛星を打ち上げることで、地域大国としての地位を強固にし、パキスタンとの関係改善をにらんでいるとの見方も出ている。また、南アジアで影響力を拡大する中国に対抗するための事業とも受け止められている。中国は2011年、長年の同盟国であるパキスタンのために、翌年にはスリランカのためにそれぞれ通信衛星を打ち上げていた。