3Dプリンターで卵巣を作成、マウスが出産に成功 米研究
(CNN) 米国の研究チームが3Dプリンターで作製した人工卵巣をメスのマウスに移植して受精させ、出産させることに成功したとして、16日の科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。いずれは人の不妊治療への応用が期待されている。
米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学校などの研究チームは、99%水分素材のヒドロゲルと少量のポリマーを使って、3Dプリンターで人工卵巣を作製。卵子の元となる卵胞をこの人工卵巣に入れて、卵巣を摘出されたマウスに移植した。
卵胞は人工卵巣の中で育ち、やがて排卵に成功。マウスがオスと交尾して受精卵ができ、少なくとも2匹の子どもが生まれた。
研究チームのテリーザ・ウッドラフ氏はこの成果を「再生医療のための生物工学の聖杯」と位置付け、がん治療のために妊娠できなくなった女性の生殖機能を復活させる手段になると期待する。
実用化のめどは立っていないものの、5年以内に人間にも応用できるかもしれないと研究チームは予想している。
ただ、最初から完全な人工卵巣を移植するのではなく、卵巣のホルモン生成機能を再現することから治験を始めることになりそうだと話している。いずれは小児がん患者のための人工卵巣の開発にもつなげたい考え。