NASA探査機カッシーニ、土星の輪に突入 最後の任務へ
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「カッシーニ」が、宇宙観測史上初めて土星の輪の中に突入する任務を開始した。20年にわたったカッシーニの観測は最終段階に入り、今年9月には土星の大気圏に突入して燃え尽きる。
カッシーニは軌道を変更して土星と土星の輪の間にある約2400キロの空間を時速12万キロの速度でくぐり抜け、22回にわたって輪の内部に突入する。
輪の中に入る際は円盤型のアンテナをシールドとして利用し、がれきなどの衝突から機体を守る。
このため一時的に地球との交信は途絶えるが、米東部標準時の27日午前3時(日本時間同日午後4時)ごろには復旧する見通し。
カッシーニで収集した情報は、巨大惑星と惑星系の進化の解明に役立てる。研究チームは土星の重力と磁場の詳細な分布図を作成し、土星の自転速度の謎を解く手がかりとしたい意向。輪の構成や起源についても調べるとともに、精密な写真も撮影する。
「グランドフィナーレ」を迎える今年9月15日には、土星の大気に突入して地球との交信を断ち、東部標準時の同日午前6時45分、隕石(いんせき)のように燃え尽きる。
最後の瞬間にカッシーニが発信する信号は、1時間後に地球に届く見通し。
カッシーニが大気に突入して燃え尽きることによって、たとえ制御できなくなった場合でも、カッシーニが土星の衛星に衝突する事態は回避でき、今後の観測に影響を及ぼさずに済む見通しだ。