人々を魅了し続ける「カリブの海賊」、その実像に迫る<下>
(CNN) 17~18世紀、世界の海をまたにかけての略奪で悪名をとどろかせた海賊たちは、現在もなお小説や映画の題材になるなど人々の間で高い人気を誇っている。
自由な身分や一獲千金を夢見たこれらの海賊たちだが、当局の取り締まりで捕まれば死罪は免れない。航海中に遭難するリスクもついて回り、常に命を危険にさらして生きていたのが実態だった。記録に残っているほとんどの海賊は、悲惨な末路を迎えたことで知られている。
歴史上の海賊行為を専門に研究するデイビッド・ウィルソン氏は、当局が海賊の転落話を抑止力として広めようとしたと指摘。「将来の海賊を思いとどまらせるため、こうした男たちが海賊行為を通じて破滅したとのメッセージを発していた」と述べる。
その例は枚挙に暇がない。例えば、海賊の世界で飛ぶ鳥を落とす勢いだった「ブラック・サム」ことベラミー。26歳だった1715年には、「ウィダー号」の船長として南北米大陸で最も恐れられる男になっていた。
ウィダー号は1717年、北米東部のコッド岬に向かう途中に嵐に見舞われ座礁、財宝を乗せたまま沈没した。160人あまりが死亡し、ベラミーの遺体はついに回収されなかった。
このほかに有名なのはジャック・ラカムの物語だ。ラカムは1720年に拘束され、絞首刑に処された。
ラカムの掲げた旗には頭蓋骨と交差した骨という、今日海賊旗と聞いて誰もが連想する図案が使われていた。このデザインは英作家スティーブンソンの小説「宝島」で有名になった。ウィルソン氏によれば、他船に恐怖を与えるため、海賊の旗には何らかの形で死の象徴が描かれていたという。