人々を魅了し続ける「カリブの海賊」、その実像に迫る<下>
ラカムは逮捕の際にメアリー・リードとアン・ボニーという女性の海賊を伴っていたことでも有名だ。当時の女性海賊として知られているのはこの2人だけだ。
2人は絞首刑になる見込みだったが、出産を控えた母親は助かると知り、勾留中に見張りを誘惑して妊娠。極刑を免れ、当時ロンドンのメディアで大きなニュースとなった。
だが、最も大きく報道されたのは「黒髭(ひげ)」ことエドワード・ティーチだ。
海賊に関する著書のあるコリン・ウッダード氏によれば、金銭的な意味で最も成功を収めた海賊を挙げた場合、黒髭はトップ10にも入らないとみられる。黒髭が実在した海賊として群を抜いて有名なのは、恐怖のイメージを作り上げたためだという。
黒髭は恐怖によって世界の海を支配した。ぼさぼさの長いひげを伸ばし、貴族から盗んだ衣服を着て、ジェントルマンの身なりをした荒くれ者というイメージを打ち出した。弾薬や火薬も身に着け、戦闘の際はそれらから発する炎や煙で敵を威圧したという。