インフルエンザ予防に懸念、ワクチンの変異で効果減退
(CNN) 今年もインフルエンザの流行が本格化するシーズンを迎えた。米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、昨シーズンのインフルエンザをワクチン接種で予防できた確率は42%にとどまる。その原因は、インフルエンザA型(H3N2)のワクチン株に起きた変異だったという研究結果が、米国科学アカデミー紀要にこのほど発表された。
インフルエンザワクチンの変異は、現在最も一般的な鶏卵を使った製造工程に起因する。論文を発表した米ペンシルベニア大学のスコット・ヘンズリー氏は、今年のインフルエンザワクチンも影響を受ける恐れがあると述べ、「結果的に相当悪いインフルエンザシーズンになる可能性もある」と予想した。
それでも重症化を防ぐためには予防接種を受けることが最善の対策だと助言している。
インフルエンザのワクチンは、毎年流行シーズンを迎える前に、どのウイルス株が流行するかを予想して製造される。選ばれた株はワクチンのメーカーに配布され、各社が製造したワクチンが医療機関に提供される。
CDCによると、2015~16年のシーズンでワクチンの効果があったのは47%。14~15年ではわずか19%だった。昨シーズンの効果は全体では42%だったが、最も流行したH3N2に対する効果は34%にとどまった。
ワクチンの効果は、流行しているウイルス株にどれだけ適合しているかによって差が出る。しかし流行しているウイルス株に一致したワクチンでも、期待したほどの効果が出ないこともある。