シャチが話し言葉を習得、人間まねて「ハロー」
(CNN) プールの中から「ハロー」と呼びかける甲高い声。発しているのは人間ではなく、シャチだった――。国際研究チームがシャチに人間の発声をまねさせることに世界で初めて成功したとして、31日に論文を発表した。
人間の言葉を教えたのは南フランスの水族館で飼育されているメスのシャチ「ウィーキー」。訓練士をまねさせて声の出し方を教えたところ、「ハロー」「バイバイ」「ワン、ツー」「エイミー」など、複数の言葉が話せるようになった。
覚えるのは比較的早く、ほとんどは10回以内の挑戦で習得し、3語については1回で発音できるようになったという。
哺乳類のほとんどは咽頭(いんとう)を使って声を出し、人間の場合は運動機能も使って言葉を話している。これに対してクジラやイルカなどの生物の場合、鼻腔(びくう)で声を出していることから、ウィーキーのような発声の習得は目覚ましい成果といえる。
野生のシャチは群れで生息し、さまざまな「方言」を持つことが分かっている。なぜそうなったのかについては論議が分かれており、生後習得した能力とする説もあるが、これまでのところ実証はされていなかった。
しかし今回の研究によって、音声学習説が有力なことが示されたと研究者は解説している。
ただ、ウィーキーが自分の発した言葉の意味を分かっているとは思えないと研究者は釘を刺す。それでもいつか、言葉の意味を理解させ、人間やクジラ類同士の相互交流にそれを使うことができるかどうかを探る研究ができれば非常に興味深いと話している。