現生人類の指の骨、アラビア半島最古 アフリカから移住か
(CNN) アラビア半島の砂漠で見つかった現生人類(ホモ・サピエンス)のものとみられる指の骨の化石について、少なくとも8万5000年前にさかのぼることが9日刊行の学会誌の論文で明らかになった。
従来の学説では、現在の人類につながるヒトの祖先が起源であるアフリカ大陸から隣接するレバント(東部地中海沿岸地方)を越えてアラビア半島など別の地域への移住を開始したのはおよそ6万年前とされているが、今回の発見でその年代が繰り上がる可能性がある。
当該の指の化石は、サウジアラビア国内にあるネフド砂漠の中心部で2016年に見つかった。長さは3.2センチほどで、その形状により発見直後から現生人類のものであることは明らかだったという。
分析の結果、化石の年代はアフリカとレバント以外から出土した現生人類のもので最も古いことが判明。これまでアフリカ及びレバントを越えての現生人類による大規模移住は約6万年前に起きたとみられていたが、実際にはそれより2万~2万5000年早く、こうした移住が複数回にわたって行われていた可能性が示された形だ。
化石の見つかった地域は現在でこそ砂漠だが、8万5000年前は川や湖が存在する草原地帯だったことが分かっている。現地からはガゼルやカバといった動物の化石も800点以上発見された。
今回の論文を主導した英オックスフォード大学のフウ・グル―カット氏は、動物の分布の多くがアフリカに共通していると指摘。当時の人類は、環境的に似通った北アフリカとアラビア半島を移動していた可能性があると述べた。