世界最大の立像も登場、インドで巨大像の建造がブームに

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SAM PANTHAKY/AFP/AFP/Getty Images

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(CNN) 「巨大な像は政治的道具となりうる」という考えは決して新しいものではない。トラファルガー広場の塔の上に立つネルソン提督や金日成広場にそびえる北朝鮮の2人の元指導者など、永久に忘れ去られることのない歴史上の人物が現代の関心やイデオロギーに影響を与えることも多い。

インド西部グジャラート州に完成したインドの初代副首相サルダール・パテールの像が先ごろ一般公開された。

約182メートルという世界一の高さを誇るこの立像は、インドのナレンドラ・モディ首相の私的なプロジェクトというのが一般的な見方だ。モディ首相は、グジャラート州の首相だった2010年に立像の建設計画を最初に発表した。

建設費の大半はグジャラート州が負担したが、モディ政権も建設資金を援助しており、モディ首相が個人的に立像建設に必要な鉄の寄付を全国の農民に呼びかけるという熱の入れようだった。

完成目前の立像の様子/Credit: SAM PANTHAKY/AFP/AFP/Getty Images
完成目前の立像の様子/Credit: SAM PANTHAKY/AFP/AFP/Getty Images

モディ首相がパテール像の建設にそこまで熱心だったのは、自分をパテール氏の功績と結びつけるため、というのが批評家たちの見方だ。インド独立運動の中心人物だったパテール氏は、1947年のインド独立と同時にインドの初代の副首相に就任した。

モディ首相のパテール像建設への関与については、モディ首相が所属するインド人民党(BJP)が、自らを対立するインド国民会議(INC)の人気者であるパテール氏と関連付けることにより、パテール氏の功績の私物化を狙っているとの批判の声も上がっている。

国家的価値観の発信

一方で、パテール像はニューヨークの自由の女神像と同様、集合的価値観の発現と見ることもできる。560以上の藩王国の統合に貢献したパテール氏は、国家の政治的理想の象徴と言っても過言ではない(それゆえにパテール氏の立像は「統合の像」と呼ばれている)。

インドでは近年、立像の建設ラッシュが続いており、2、3の例外を除き、インドの巨大な像の大半はここ15年以内に建設された。聖職者の像も多いが、最近の歴史的人物の像も定期的に作られており、主な例として現在ムンバイ沖に建設中の17世紀の英雄、シヴァージーの像が挙げられる。2021年に完成予定のこの像は、高さが約212メートルで、完成すれば統合の像を抜いて世界で最も高い像となる。

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